第一回戦第一試合

「はあ……」

殺しても死なず、永劫の時を生きる黒髪黒目黒ストシューの少女はため息をついた。

花見エージェントとして雇われたはいいが、襲い来る花見モンスターの群れにほとほと嫌気が差していたのだ。

「まさかこんな僻地まで花見モンスターに毒されているなんて……ああっ数が多い」

ぼやいている間にも花見モンスターは次から次へと襲ってくる。えぬえむは持っていたアハツィヒの錬金釜を花見モンスターに投げつけた！　花見モンスターは錬金釜が直撃し、汚らわしい花汁をまき散らしながら絶命した。

「ふぅ……もしもの時のために錬金釜を持ってきてよかった。殴り、投げられ、ついでに錬金もできる。ああ！　いいことを考えた。」

そういってえぬえむは自らの本体であるストシューを躊躇いなく錬金釜に投げ込み、ついでにどこからか持ってきていたペレケテンヌルの弓（ペレケテンヌルは三角大福を体現する神なのでこの弓は三角大福を射出できる）、そして黒衣の放逐者（マロゾロンドはコピペを司る神なのでこの放逐者とはWindowのゴミ箱を意味する）を放り込んで怪しい踊りを踊ると、錬金釜が高速で震え、すさまじい轟音と溢れんばかりの黒い閃光を放ちながらまっぷたつになった！！

中から出てきたのは……人類がこれまで見たことのないような、錬金釜と同程度の大きさの巨大なストシューであった。

「えぬえむとはストシュー……すなわちストシューを強化すればえぬえむを強化すると同義。この巨大なストシューで蹴り飛ばせば花見モンスターなど恐るるに足らず。世界を花汁で満たしてやる！　アハハハハ！」

「へえ……なーーんかいいもん持ってんじゃないですかァ……」

テンションがぶっちぎっているえぬえむの背後にいつの間にか立っていた影。イラストがWebアドレスの少女だ。イラストがWebアドレスの少女は目を細めながら（Webアドレスに目があるかどうかはわからない）ゆーーっくりとえぬえむに近づき、ハイテンションから一転なんだこいつテンションしているえぬえむを下からのぞき込む。

「あのさあ……あれを履いて花見モンスターをばったばったとぶった切るって言ってたけどぉ……」

「言っていません」

「あれさぁ……人間の履ける大きさじゃないよねぇ……どうやって履くんだろぉ……」

「ふ、ハハハ！　ストシューの化身たる私に向かって「ストシューをどうやって履くか」なんて……ストシューはもはや履く必要すらなく、ただ私と一体化している。私の蹴りはすなわちストシューの蹴りと同義。ストシューがどれだけ大きくても、ストシューである限り私の声が聞こえないはずがないと思わない？」

「うーーん……よくわかんないけどぉ……そうか履けるんだぁ……」

少女はそういってゆーーっくりと後ろに下がると、両手の親指と人差し指で四角を作って、そこからえぬえむを覗き込み、

「それならば！　"巨人認定"ッ！！」

バッバッ、と右手で十字を切った。

「ふふふ、巨人！　花見エージェントになんか興味はない、というか投稿時にそんな設定は一切なかった、わたしには巨人を刈ることだけがかつてない喜びの肉体の一部！　ああ、あのような巨大なストシューを履ける人間がいるなんて、まさに夢のよう！　さあ、遣り合おうか、小さいながらも巨大な巨人よ！」

ネコのようなポーズをしながら（もちろん姿形はWebアドレスなので猫のようなポーズをしているのかはわからない）、右のポケットから刃物を取り出し、左のポケットから刃物を取り出し、もちろんこれは狩りの際にいつも使われる巨人の皮膚を貫く特注の鋼鉄である、まっすぐにストシューの化身に向かって襲い掛かった！！

鳴り響く金属音。すんでのところでアハツィヒの錬金釜の後ろに隠れ、えぬえむは少女の攻撃をやり過ごす。

「ふぅ……予備の錬金釜を持ってきてよかった。いきなり襲い掛かってきて巨人だなんて、なんかどうかしている。まあ……降りかかる火の粉は払わせてもらおうかしら。今宵も巨大なるストシューが血に飢えている……」

……

えぬえむの脚の軌跡が紅くなる。青白く光る満月をバックに、二人の戦いがはじまった。

 

（なお以上のストーリーは投稿者の人とは一切関係がありませんがやめてほしかったら言ってください。）